『第1回 アーツ&スナック運動』に寄せて

 アーティストたちの仕事は、ある対象に内在する静かなエネルギーを解放させる働きを持つ。都市を対象とするのであれば、その場所の内にうごめくエネルギー源に接触し、日常の風景を引き裂く。アーティストにより裂け目から引きずり出されたエネルギーは作品の形を帯び、そこに住まう人々を最も輝かせる劇場的都市空間の背景装置としてその場所にインストールされる。

 「アーツ&スナック運動」では、様々な職種・国籍・世代の人々が歴史的に交錯する複雑な池之端仲町において、この地の伝統技術や芸能あるいはアーティストたちを総合して「アーツ」、また、この地のナイトライフや労働者たちを象徴的に「スナック」と位置づけた。
 2人のアーティストには、「池之端仲町のアーツ」の一員としての立場から、「池之端仲町のスナック」という、この地に固有のエネルギー源を有すると考えられる不可思議な領域への入り口を切り開いていただいた。

 裂け目から顔をのぞかせたエネルギーの断片群は、2人のアーティストによって編集され、いわば未来の「劇場的都市空間池之端仲町」を予感させる前奏曲として、今後の演出に不可欠な重要なモティーフを複数提示している。
 今後様々なアーティストたちの仕事によって、提示されたモティーフが様々にパラフレーズされ、池之端仲町に住まう人々を最も輝かせる劇場的都市空間がドラマティックに演出されていくことを期待している。
​​​​​​​

You may also like

Back to Top